LITE版P8「介護など」④おひとりさまの認知症対策

エンディングノート「介護など」のページ、おひとりさまの認知症対策について書きました。

おひとりさまの最大の関心事は、万一、自分が認知症になったときに、だれが面倒をみてくれるの

かということではないでしょうか?そのような方にお勧めなのが、任意後見制度というものです。

前回の記事では、家族が近くにいて認知症になった場合の財産管理(法定後見)について書きまし

た。法定後見の場合は、認知症の症状が現れてから、家族等が「成年後見人選任」の申し立てを家

庭裁判所に行い、家庭裁判所が成年後見人を選任するというものです。おひとりさまの場合、そも

そも、だれが、家庭裁判所に「成年後見人選任」の申し立てをしてくれるのかという問題がありま

す。そのような問題を解決してくれるのが、任意後見制度及びその前後の契約ということになりま

す。

◇任意後見制度
家庭裁判所が後見人を選任するのではなく、任意後見契約という私的な契約により、信頼できる人

を任意後見人に決めることができます。家庭裁判所が選任するのではなく、私的な契約で後見人を

決めることができる点が、法定後見と大きく異なるところです。この契約のなかで、認知症になっ

たときに任意後見人にお願いしたいことを決めておきます。

主な契約内容は、財産管理(日常生活に関する入出金、預貯金管理、不動産の管理・処分など)、

身上監護(介護保険利用契約、入退院契約、施設入所契約など)ですが、私的な契約なので、他

にお願いしておきたいことがあれば、契約書に書いておきます。この契約は、とても大事な契約で

すので、公正証書でする必要があります。

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だれに後見人をお願いするか
このブログを読みながら、頭にだれかの顔が浮かんだ人は、その人が任意後見人の候補者になるで

しょう。ただし、注意しなければならないのは、任意後見人には、一定の頻度で来てもらうことに

なるので、遠方の人では無理だということです。特に救急の場合を考えると、近くの人がよいで

す。それと、歳の近い人だと、どちらが先に逝くかわからないので、できれば、ある程度、歳の離

れている人がお勧めです。現時点で、後見人の候補者になる人がいない場合は、やはり、積極的に

探すことが必要になるでしょう。これは、本当に難しいですね。何といっても、自分の大事な財産

を預けるわけですから、「あの人、いい人ね」くらいでは、とても任せられないと思います。

私自身も、近くにそういう人いるかというと、歳の近い信頼できる人はいますが、歳の離れた信頼

できる人はいないです。探す方法としては、やはり、友人、知人からの口コミが一番確実だと思い

ますが、そういう人が見つかっても、すぐに契約はせず、ある程度時間をかけてお付き合いをし

て、本当に信頼できるという確信を持ってから契約するのがよいでしょう。

法律的なサポートをしっかりしてほしいという人は、弁護士、司法書士、行政書士などの専門職が

よいです。口コミやHPなどで見つけた人が、後見業務を行っているのであれば、セミナーに参加

する、相談に行くなどして見極めていくほかないと思います。

特定の個人ではなく、NPO法人などの団体を探してみるのも1つの手でしょう。法人と後見契約を

結ぶメリットは、当初の担当者が死亡等の理由でいなくなったとしても、他の担当者が代わりに業

務を行ってくれるという点です。ただし、こちらも、その法人が信頼できる団体であるかどうかが

問題となります。

任意後見契約の発効
任意後見契約は、契約したからといって、すぐに効力がでるものではありません。本人に認知症の

症状が出てきた時点で、任意後見受任者(任意後見人)が、家庭裁判所に「任意後見監督人選任の

申立て」を行います。裁判所が「任意後見監督人」を選任した時点から、任意後見契約が発効する

ことになります。任意後見人が、不正を働かないかを監督するのが、任意後見監督人の役目です

が、その監督人が選任されてはじめて契約が発効するということです。

本人に一定の資産がある場合、任意後見監督人には、専門職(弁護士、司法書士、社会福祉士)が

つきます。現在は、任意後見監督人ができる業種は、弁護士、司法書士、社会福祉士の3業種に限ら

れています。税理士や行政書士は含まれません。

任意後見監督人

費用
任意後見契約が発効したときから、任意後見人、任意後見監督人への報酬が発生します。任意後見

人への報酬は、任意後見契約の中で既に決められています。任意後見監督人への報酬は、本人の財

産額や財産管理の複雑さ等を考慮して家庭裁判所が審判で決めます。毎月2万円~5万円程度の費用

がかかるケースが多いようです。任意後見契約が発効すると、任意後見人だけではなく、任意後見

監督人の費用も発生してしまうことは理解しておいてください。

認知症になる前は?
任意後見契約を結んでおけば、認知症になったときも安心ですね。ただ、任意後見受任者が、本人

が認知症だと判断するためには、一定の関係を継続しておく必要があります。月に1回程度、電話や

面談で、本人がどんな状態なのかを確認します。これは、「見守り契約」などといわれます。

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例えば、見守り契約中に脚を悪くして、銀行にも行きにくくなってしまったときは、銀行の預貯金

の入出金だけを依頼することも可能です。この場合は「財産管理委任契約」を結ぶことになりま

す。本人は、脚が悪いだけで判断能力が低下しているわけではないので、任意後見契約を申し立て

る必要はありません。

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死亡後の事務
ここまで、おひとりさまが安心して暮らせるように、財産管理を中心とした契約をみてきました。

「見守り契約」、「財産管理委任契約」、「任意後見契約」です。死亡後の財産というと、「遺

言」になるのですが、それは別のところで書きたいと思います。ここでは、財産管理とは少し離れ

ますが、お葬式やお墓、納骨、遺品整理などの死後の事務についてみていきたいと思います。

任意後見契約は、本人の死亡と同時に終了します。そのため、上記で書いた死後の事務についてお

願いしたいときは、「死後事務委任契約」を別途結ぶことになります。身寄りのない人は、この契

約は必須といえるでしょう。葬儀は質素に、納骨は永代供養してくれるところに、遺品整理は業者

に処分してもらって、という人が多いようですが、できれば生前に、葬儀業者と予め契約を結んで

おく、墓がある場合は、墓じまいをしておく、納骨場所を決めて契約をしておく、遺品整理業者を

手配しておくなど、ある程度、元気なうちに道筋をたてておくことが大切だと思います。おひとり

さまの場合、できれば、65歳~75歳までの間に行動に移すのがよいでしょう。人によっても異な

りますが、正直80歳を過ぎると、理解力、行動力がかなり衰えてきます。気持ちがあってもからだ

が・・・ということになりますので、早めの対処をお勧めします。「死後事務委任契約」は、「任

意後見契約」「遺言書」と一緒に公正証書にすることが多いです。任意後見などについて聞いてみ

たいなという方は、無料相談をご利用ください。

 

「40代・50代から始める 遺族に迷惑をかけない失敗しないエンディングノートの書き方」を読んで、これからの課題をみつけていただきたいと思います。製本版はお問い合わせください。

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