LITE版P8「介護など」⑥延命治療 

エンディングノート「介護など」のページ、延命治療について書きました。

回復の見込みがないのに、人工呼吸器をつけたり、栄養を点滴したりすることを「延命治療」とい

います。「あなたは延命治療を望みますか?」と問われれば、多くの人は、「望まない」と答える

のではないでしょうか?ただ、現実には、延命治療が行われているケースもたくさんあります。ど

のようなケースが問題になるのかみていきましょう。

問題になるのは一人暮らしの人(身寄りがない人、家族・親戚とも疎遠な人)

救急車で運ばれて人工呼吸器をつけた。その後の治療の効果もなし。回復の見込みもない。だけ

ど、本人の意思を確認する手段がない。医師にとっても、一度つけた人工呼吸器をはずすのは、殺

人罪に問われる可能性もあるので、本人や家族の同意がないケースでは、難しくなります。また、

家族がいても疎遠な場合、家族が延命治療を望まないと言っても、本人の意思が確認できない限

り、医師としては、延命治療を継続することもあるということです。本人の意思が確認できないこ

とで、本人は望まない延命治療をされ、医療関係者は、本人がどう思っていたかで悩み、国にとっ

ては、医療費が増え続けるという、何とも理不尽なことが起こってしまうのです。

団塊の世代が後期高齢者の75歳になる2025年以降、日本は多死時代に入るといわれています。一人

暮らしの高齢者の割合も増え、自分の最後の意思表示をしておくことが、ますます求められる時代

になってくるといえるでしょう。一人暮らしの方は、是非、後述する延命治療を拒否する意思表示

を行っていただきたいと思います。

家族がいても、離れて暮らしている場合は、要注意です。日頃から、自分がどのような最後を迎え

たいのかを、家族との会話の中で伝えておくことが大切です。家族が本人の気持ちがわからないま

ま延命治療を拒否する判断をすると、後々、「あの判断は正しかったのだろうか?」と自責の念に

苦しめらる可能性もありますので、家族には、しっかり伝えるようにしてください。

 

◇延命治療を拒否する意思表示
延命治療を拒否する意思表示には、①尊厳死宣言公正証書と②日本尊厳死協会に登録する方法があ

ります。①尊厳死宣言公正証書は、公証役場で作成します。ひな形も用意されています。

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(ひな形)          尊厳死宣言公正証書

本公証人は、尊厳死宣言○○○○の嘱託により、平成○○年○月○日、その陳述内容が嘱託人の真意であ

ることを確認のうえ、宣言に関する趣旨を録取し、この証書を作成する。

第1条 私○○○○は、私が将来病気に罹り、それが不治であり、かつ、死期が迫っている場合に備え

て、私の家族および私の医療に携わっている方々に以下の要望を宣言します。

1.私の疾病が現在の医学では不治の状態に陥り、既に死期が迫っていることを担当医師を含む2名

以上の医師により診断された場合には、死期を延ばすためだけの延命措置は一切行わないでくださ

い。

2.しかし、私の苦痛を和らげる処置は最大限実施してください。そのために、麻薬などの副作用に

より死亡時期が早まったとしてもかまいません。

第2条 この証書の作成に当たっては、あらかじめ、私の家族である次の者の了解を得ております。

妻 ○○○○  昭和  年  月  日生

私に前条記載の症状が発生したときは、医師も家族も私の意思に従い、私が人間として尊厳を保っ

た安らかな死を迎えることができるようご配慮ください。

第3条 私のこの宣言による要望を、忠実に課して下さる方々に深く感謝申し上げます。そして、

その方々が私の要望に従ってされた行為の一切の責任は私自身にあります。警察・検察の関係者に

おかれましては、私の家族や医師が私の意思に沿った行動を執ったことにより、これら方々に対す

る犯罪捜査や訴追の対象となることのないよう特にお願いします。

第4条 この宣言は、私の精神が健全な状態にあるときにしたものであります。従って、私の精神

が健全な状態にあるときに私自身が撤回しない限り、その効力を維持するものであることを明らか

にしておきます。

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尊厳死宣言公正証書を作られる人は、子どものいない人、親戚も近くにいない人が、任意後見契約

(認知症等になったときに財産管理等を行う契約)、遺言書、死後事務委任契約(葬儀、納骨、

遺品整理をお願いする契約)などと一緒に作ることが多いです。家族がいても作られる人は、自分

の意思をはっきりさせておくことで、万一のとき、家族が迷うことなく延命治療を拒否することが

できるからという理由からです。

尊厳死宣言公正証書をご希望の場合、最寄りの公証役場に直接行かれてもよいですし、相談したい

ということであれば、行政書士が承ることも可能です。お気軽にお問い合わせください。

 

延命治療を拒否するもう一つの方法は、②一般社団法人日本尊厳死協会に加入する方法です。日本

尊厳死協会は、延命治療を望まない人たちのために活動している団体です。会員になると、協会独

自のリビング・ウィル(尊厳死の宣誓書)と会員証が送られてきます。リビング・ウィルを医師に

示すことで、本人の意思確認ができます。協会によると、90%以上の遺族が、最後の医療にリビン

グ・ウィルが生かされたと回答しているそうです。

①の尊厳死宣言公正証書と②リビング・ウィルの内容は、ほとんど同じです。異なる点は、費用で

す。尊厳死宣言公正証書の作成費用は、11,000円程度で、一度作成すれば追加の費用がかかること

はありません。②日本尊厳死協会に加入するのは、年会費として、一人2,000円、夫婦で3,000円、

終身の場合は、一人7万円、夫婦で10万円かかります。会報が送られてきたり、会員同士の交流会

などのサービスの提供もあります。

全国に支部がありますので、興味のある方はそちらでお聞きください。

 

 

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