エンディングノートの書き方、「納骨・供養」のページについて書きました。
●納骨
前のページで、葬儀について書きました。葬儀に対する考え方も変わってきているように、納骨に
対する考え方も変わってきています。今までは、先祖の遺骨があるお墓に納骨するのが当たり前、
お墓がない場合は、新たなお墓を建ててそこに納骨するという考え方が一般的でしたが、今は、い
ろいろな選択肢があります。
①永代供養墓
永久に供養してくれるお墓ではありませんが、ある一定の期間(例えば33回忌までなど)、お寺な
どが供養してくれるものです。一定の期間が過ぎると、他の遺骨と一緒に祀られる(合祀)ケース
や、最初から合祀のケースもあります。ビルの中にある納骨堂なども、値段によって、いろいろな
コースがあります。お墓を継いでくれる人がいない人、遺族に負担をかけたくない人が選択するこ
が多いようです。
永代供養を行うお寺が開いた説明会などで出会ったのが縁で親交を深め、一緒にお墓に入ることを
選択する人もいます。「墓友」といわれています。妻が夫の先祖と一緒のお墓に入りたくないとい
うケースも増えています。「いじめられた」、あるいは、「死んでまで気を遣うのは嫌」などが理
由のようです。ひと昔前のように、「家を守る」「「○○家」の一員という意識は薄れ、「個」の時
代に入ったといえるのでしょうね。今後も、この傾向は続いていくと思います。
②樹木葬
樹木葬は、墓石の代わりに樹木を植えて、その下に遺骨を埋葬するものです。いろいろなケースが
あり、一本一本の木の下に遺骨を埋葬する方法や、数本の木やお花を中心に植えて、その回りに遺
骨を埋葬する方法などがあります。ネットで、樹木葬と検索すれば、たくさん出てきますよ。墓石
を作らない分、費用は抑えられます。
③散骨(海洋葬)
海に遺骨をまくものです。遺骨は、細かく砕いて灰にしたものを海にまきます。遺骨の全部をまく
場合や、一部は残して散骨する場合もあります。海洋葬を専門に扱う業者にお願いすることになり
ます。親族だけで舟を貸し切って散骨するケースや、他の遺族と共同で行うケースなど、様々のよ
うです。
④改葬(お墓の引っ越し)
もともとあるお墓を、現在住んでいるところの近くなどに引っ越すことを改葬といいます。遠方で
お墓詣りができないなどの理由から改葬する人が増えています。改葬の手続きは、新しいお墓と元
のお墓、元のお墓の市区町村役場での手続きが必要になり、かなり面倒です。以下、手順を書きま
した。
1.元のお墓がある市区町村役場から、「改葬許可申請書」の用紙をもらいます。
「改葬許可申請書」の用紙は、各自治体のHPや郵送で入手できることが多いですが、必要書類など
は各自治体によっても異なりますので、予め確認してください。
↓
2.新しいお墓の管理者から遺骨の「受入許可証」を発行してもらいます。(必要な場合)
↓
3.元のお墓の管理者に「埋葬許可証」を発行してもらいます。(必ず必要)
↓
4.必要事項を記入した「改葬許可申請書」を、「受入許可証」「埋葬許可証」と一緒に元の市区町
村役場に提出し、「改葬許可証」を発行してもらいます。
↓
5.「改葬許可証」を新しいお墓の管理者に提出します。
↓
6.遺骨を取り出したお墓は、更地に戻す必要があるので、石材店を手配します。利用できる石材店
が指定されていることもあります。
お墓から遺骨を取り出すときに「閉眼法要」、納めるときには「開眼法要」と呼ばれる儀式を行い
ます。
改葬でトラブルになりやすいのは、元の墓の管理者(菩提寺など)との関係です。菩提寺は、檀家
が減るのを嫌がるので、事前の相談なしで改葬の許可を求めると話がこじれることが多いです。ま
た、菩提寺に、今までにお世話になった気持ちとして支払うお布施(離檀料)が、古くからの慣習
としてありますが、100万円を超える離檀料を求めるところもあり、トラブルの原因になっていま
す。離檀料に法的な根拠はありませんが、菩提寺ともめるのは避けたいものです。やはり、事前の
相談と節度ある行動を心がけるのがよいでしょう。それでも、法外な離檀料を請求される場合は、
専門家に相談するのがよいでしょう。
改葬の費用は、230万円~330万円が相場のようですが、新しい墓の永代使用料だけでもそれくらい
かかるところもあり、かなりのばらつきがあります。手間も費用もかかる改葬ですが、自分の代で
行わなければ子の代に持ち越しになってしまいます。遺族への負担をできるだけ減らしたいという
場合は、やはり自分の代でけりをつけておくのがよいと思います。
●仏壇
仏壇は、本来、信仰の対象である「ご本尊(ほんぞん)」を祀るためのものす。仏壇は、家の中の
お寺といってもよい神聖な存在なのです。ただ、現在では、ご先祖様を供養し、祈りを捧げる場が
仏壇と思っている人も多いのではないでしょうか?
ミニ仏壇を販売する(株)インブルームスが行った調査では、複数人が暮らす世帯でも、仏壇を持
っていない人の割合が6割にも及んだそうです。マンションなどの集合住宅においては、8割の人が
仏壇を持っていないという結果がでました。一方で、先祖・故人を偲ぶことの大切さを認識してい
る人は80%以上にものぼり、先祖・故人に対して供養を十分に行っていると思っている人の割合
は、仏壇のない人よりも、仏壇のある人のほうが高いという結果でした。
手元供養
先祖を供養し祈りを捧げたい、でも、スペースや費用の問題で難しいという人には、「手元供養」
という方法があります。「手元供養」は、故人の遺骨や遺灰を身近において供養するものです。お
しゃれな骨壺に入れて安置するするケースや、故人の遺骨の一部で作ったオブジェを置いたり、ペ
ンダントや指輪を作ることもできます。お子さんを亡くされた方や最愛の伴侶を亡くされた方のブ
リーフケアの役割を果たす場合もあるようです。
ミニ仏壇
手元供養の広がりから、仏壇も変化しています。デザイン性の高いものや省スペースをうたったも
の、宗教にこだわらず、ご本尊を祀らない祈りの場としての仏壇もあります。お墓を持たない人
が、遺骨を仏壇で手元供養するケースも増えているそうです。
●法要
法要は、故人の冥福を祈り、その霊を慰めるためにする儀式のことです。まずは、亡くなった日を
含めて7日後に行う初七日(しょなのか)があります。葬儀当日の遺骨迎えとあわせて行うことが多い
です。その後は、四十九日。仏教では、死者の魂は49日間、現世とあの世の間をさまようとされ、
無事に成仏できることを願い供養します。この期間を中陰(ちゅういん)といいます。中陰が終わ
って忌明けの法要をする日が49日(満中陰)です。親戚が集まり、僧侶にお経を上げてもらって、
みんなで会食します。その後は、1年後の1周忌、2年後の3回忌になります。3回忌は、3年後ではな
く2年後に行います。1周忌、3回忌と2年連続で行うことになります。その後は、7回忌、13回忌、
(17回忌、23回忌、27回忌)、33回忌、50回忌と続きますが、ほとんどは33回忌までで終わるそ
うです。
葬儀や納骨では、簡略化の動きが加速しています。法要についても、その傾向があるようです。そ
もそも仏教では、何回忌まで法要をしなければならないという決まりはないようです。ただ、親が
亡くなり、子が法要を執り行うなどの際に、あまりにも簡略化すると、他の親戚との関係で、揉め
る原因にもなりかねません。そのような場合、エンディングノートに、例えば、「法要は、7回忌ま
でで終了としてください」と書いておけば、他の親戚も納得しやすいのではないでしょうか?法要
は、親戚が集まり、ご先祖を供養をするものです。その回数は、多いにこしたことはないという考
え方もありますが、親戚が遠方に住んでいる、高齢で参加するのが難しいというケースでは、簡略
化することで、経済的にも精神的にも負担が軽くなると思います。
エンディングノートの「納骨・供養」のページも、考えることがたくさんありますね。自分の意見
だけでなくて人の意見も聞いてみたい、こんなふうに思ったことはないですか?今後、セミナーも
行っていく予定ですので、HPをチェックしてくださいね。
また、エンディングに関するセミナーをしてほしいという方は、お問い合わせください。ご希望の
内容でさせていただきます。